大判例

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東京高等裁判所 昭和29年(ネ)2425号 判決

よつてまず、本件訴訟の適否につき案ずるに、控訴人らは、控訴人らが東京都渋谷特別区長を選出する選挙権を有すること、東京都知事がその権限なきに昭和二十八年八月三日の右区議会の同意に基ずき被控訴人を右特別区長に選任し、被控訴人が就任したことを主張して、右選任の無効なることの確認を求め、控訴人らが右選挙権を有すること並びに東京都知事及び右区議会がその権限なきことの理由として、改正地方自治法第二百八十一条の二第一項が憲法に違反し無効であることを主張するものであることは、口頭弁論の全趣旨に照し明らかである。これによれば、本件訴訟における訴訟物は右選任による法律関係、すなわち被控訴人が渋谷特別区長に選任されたことの無効であることにあるのであつて、右改正地方自治法の規定が憲法に適合するか否か、あるいは控訴人らが前記選挙権を有するか否かは、直接本訴の目的となつているものでないが、被控訴人が渋谷特別区長に選任されたことの無効を求めること自体控訴人らの個人の具体的権利義務には直接関係のないことであつて、かかる点について司法裁判所が裁判権を有しないことは明らかである(最高裁判所昭和三十年(オ)第六六五号判決昭和三十一年二月十七日言渡参照)。尤も仮りに地方自治法の前記改正が憲法に適合せず、従つて右改正法に基ずいて渋谷特別区長の選任がなされた場合、控訴人らのいう従前享有した選挙権が無視される結果となることは否定できないが、これは選挙権の性質から考えてみて個人の具体的権利義務に直接関係あるものとは考えられないから、司法裁判所はこの点につき判断を加えるべきものではない。

しからば、控訴人らの請求は、その余の点につき判断するまでもなく、不適法として却下すべきであつて、原判決は相当であり本件控訴は理由がない。

(岡咲 龜山 脇屋)

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